ナチュアのHinterhof

オーガニック・リサイクルなど、地球環境に優しい商材を海外から直輸入しているネットショップ・ナチュアデアエルデの運営者が綴る海外珍道中、日常に起こる珍事件、その他プライベートで感じることを書き散らかします

カテゴリ: 単発旅行

そうこうしながらも無事に母親と再会を果たす残念な兄妹。

翌日早く法事の為お寺に出かけ、その帰りにお墓参りへと足を運ぶ。
テキパキと作業を進める親戚のおいちゃんに指示され、花の水を替え、
お線香のための蝋燭を立てと動いていると、突然、

「ふぎゃあっ!!!」

良く晴れた静かな山間に響き渡る叫び声、と同時に弾け飛ぶ兄。
一同がどよめきながら兄に目を向ける。
場所が場所なだけに白骨でも見つけたのか?!
一心に注目を浴びた兄の口からか細く漏れ出る言葉

「か、蛙。。。。」

小さく呟きながら後ずさる兄。
先ほどまで兄が作業をしていた場所を振り返ると、そこには、
それはそれはTiny雨蛙が墓標?に張り付いていた。

一瞬の沈黙の後、おいちゃんが
「大声出すからどれだけ大きい蛙がいるかと思ったら・・・」
絶句with苦笑。

ご察しのとうり、兄は大の蛙嫌いである。
そのくせ黄緑のジーンズなんてのを履く。
財布も何気に黄緑。
関係ないと言われればそうなのだが、潜在意識の中に気になるアイツとして刷り込まれているのかも??

その後一歩もお墓に近寄ろうとしない兄。
気持ちはわかるのだが何と頼りがいの無い男だ。
染みついた残念さは、空港ピンポンを一発合格したくらいでは拭えないだろう。

そんなこんなでお墓参りも終え、昼食に向かう。
法事の後、いつも食事するホテルのレストランに向かうと、お店とは別のドアに案内される。
どうやら膝が弱い母やおばちゃんの希望で、座敷ではなく椅子のある部屋をお願いしたらしい。

趣の違う重たいドアを開けると、がら〜んとした、だだっ広い空間に長机と椅子が目に飛び込む。
ひいき目に見てもお店とは程遠い部屋で戸惑っていると、
「ココは椅子の席が無いから、普段会議室に使っているところを特別に用意してもらったから」
何の違和感もなくおばちゃんがスタスタと入室。
ま、まぁ気にはしないケド・・・

広い部屋の長机にそれぞれ着席すると、見栄えはどうあれ晩餐会の雰囲気が醸し出される。
椅子の足にゴロゴロがついていたせいで、食事中は地に足をしっかりつけておかなければ、
お箸を持ったままゴロンするという危険との背中合わせを除けばまずまずの食事だった。

さて今回、実は自分のメインイベントは10数年ぶりの親友との再会である!
昨年暮れに同窓会が開催されるとかで連絡があったのをきっかけに再開の運びとなった。

自分とその親友の性格?価値観?考え方?には、共鳴するところが多い。
お互いにキャアキャアはしゃぐタイプでもなく、噂話や常識的な話には興味がなく、
いかに自分たちが楽しい事をするかに全力を尽くしていたと言っても過言ではない。
高校から別だったので、思い出は小中学校が多いのだが、彼女とは冒険物のストーリーが多い。

そんな親友とは、お互い電話や手紙など豆にするタイプでもないので、
10数年ぶりに再開するどころか会話する事が大事件。
まぁ自分がすぐに海外逃亡して音信不通になる彷徨い人だったため、
連絡のつけようがなかったというのがこの10数年の本当のところだ。

自分は、20歳前後の頃、リセット症候群に苛まれ、
今ある生活を捨てて新しい人生を歩むべく、周りの友人、知人に何も言わずに物理的に消える、
というマジックを何度か披露している。
「自分だけの力で何が出来るのかを知りたい!」
なんて、全くもって若気の至りだ。

話が脱線したが、そんな久しぶりの再会を心待ちにしていた矢先、親友から何度かの着信履歴があった。
法事を済ませ、ようやく自分の時間になったので折り返してみると、

「。。。今日、会えなくなったぁ(涙」

開口一番の力のない声。
「オジサンがさっき亡くなって、これから子供たちをお通夜に連れて行かなければならなくなって・・・」
肩の力がスンッと堕ちた。

あまりの突然の事に親友は大号泣したらしいのだが、
その理由は、遠いオジサンの他界ではなく、自分に会えなくなった事を嘆いたらしい。
しかしこればかりはどうしようも無い。

「また実家に帰って来る時連絡するから。。。」
言葉を上の空で呟きながら電話を切る。

残念である。
寄りにも寄って今日かい!!!
と叫びたい気持ちを抑えながら、残念帰省はまだ続いていたかと遠い目になるのであった。


飛行機、機内持ち物検査。

兄は恒例のPCグッズを仕分けして籠に入れるにも関わらず、ピンポントラップに引っ掛かるはずなので、
ノンビリ行こうと隣の列に並んでジャケットを脱ぎ始めると、スタスタと歩を進める兄。

「あれ?仕分けは?」
兄「今日はiPad置いてきた」

ぬ?
遠ざかる兄の背を見ながら、もたつく自分。
ようやくジャケットを脱ぎ捨て、カバンを籠に乗せて列に並ぶと、既にパススルーした兄が遠ざかる。
い、一発合格?!
今まで、過去98%の確立でピンポンに絡まる兄が、顔パスVIP並みに探知機を通り抜けてしまった。
係員に袖の下でも握らせたか?!

一方こちらは、前のオジサンが荷物の仕分けもジャケットオフもせずに並んだため、
探知機の前で、係員に「上着脱いで下さい」「携帯出してください」など指導されている。
ちゃんと手前の整理場で準備してから並ぼうよぉ・・・
心の小さい器が愚痴で溢れる。

兄から遅れる事数分。
ようやく合流して時間を見ると搭乗開始30分前。
おぉ?!!!
奇跡の待ち時間が!!!
しかし、我々の飛行機は、一番奥のターミナルまで進まねばならないので油断は禁物。
とりあえず向かいながらチラチラと食べ物を見る。

「毎回喰らいっぱぐれるので、今回は、き、君の分までオニギリと菓子パンを買ってきているのだが・・・」
上目使いで恐る恐る兄に告白すると、
兄「ふん。そんな添加物たっぷりの物なんて喰らえるか!!」

は、はうぅうううっ。。。
時間がたっぷりあるという状況に勝ち誇るかのような発言が飛び出した。

自分のストーリーでは、
「ふぅ。今回も時間ギリギリだったね!全くもう・・・またピンポンでモタモタしてぇ。
ま、こんな事もあろうかとぉ・・・じゃ〜んっ!!!
今回は腹減りんMAXにならないように事前に食糧を調達して来ましたぁ〜っ!!!」
兄「おぉ!!流石良く出来た妹よぉ!!」
-完-

と言う美談になるはずだった。
なのに!今回、ことごとく空回る自分。
2人分にしては少ないケド、せっかくお買い上げした食糧たち。
それがまさに今、お荷物の何物でもない物に変わろうとしている。

「と、とりあえず、もしかしたらいらないと言う可能性もあるかなぁと思って、
食糧オニギリ2個と、菓子パン2個あるからさぁ。。。」
兄「自然食材の物をワシは買う」
取りつくしまも無く、ターミナル付近の売店に足を向け、ここぞとばかりにコンビニ調達へ蔑む兄。

そもそも君が自然食品趣向なんて初耳だぞ、おい!
この潰れかけのメロンパンはどうしてくれるんだい?!
大好きなメロンパンを、半分分け与えてあげようと言う、妹の行き場の無い心意気はどうしてくれるんだい?!

しょんぼりと肩を落として兄の後ろについて行く。
意気揚々と食糧調達する兄。
「けっ、それにだって添加物入ってるじゃん」
更に小さい心の器が波打つ。
負け惜しみがてらに兄の精算時を見計らって自分のジュースを紛れ込ませた。

毎回小走りで駆け抜ける通路をゆったり歩く。
何だか人でごった返している。
この辺りのターミナルは、九州方面と札幌行があるらしく、どうやら人混みは札幌行の便を待てしている様子。
しかもリクルートスーツのフレッシュさん達がワラワラ。

「ぬぅ・・・入社式かなぁ?就活?入社前研修?」
あまりの団体さんなので、オニギリを頬張りながら兄に問う。
兄「いや、あれはラーメン食べに行く団体だな。」
「ぬ?ラーメン食べにわざわざこんな時間に?」
兄「そう。だって、見てみろよ。奴らはラーメン食べに行く顔してるだろ」
とんだ偏見である。

その後も「ラーメン食べたそうな団体」が、彼の中で嵌ったのか、
ことあるごとに「ラーメン食べる顔」を連呼する兄。
我等兄妹は関西の血が入っているからなのか、一度クスリと小笑いでも起ころうものなら、
孫の代までそのネタを離さない悪い癖がある。
恐らく、今後何かの団体を見かけた時は、兄は確実に
「ラーメン食べる顔してるから、ラーメンを食べに行く団体」
として含み笑いを取りに行くだろう。

「それって面白いかい?」
いえ、全くのダダ滑りだが、兄は自己満足で大爆笑するのだ。
その笑いが、人々の想像を100倍超えるのでつられてこちらも笑いが込み上げてしまうのだ。
所謂、実写版笑い袋といったところだ。

今回、いつもより混んでいると思っていたが、実際はいつもと同じ状況で、
毎回滑り込みセーフ組の最終乗客者な我々にとって、待合席での人間ウォッチングなんて初めての経験。
舞い上がっていたと言う事に気づくのは、まだ大分先の2人であった。




搭乗チェックインの時間、10分程過ぎてから空港に到着。

既に自信という原石が欠片となってしまっている自分は、キョロキョロと挙動不審。
とりあえず自動チェックインATMに進み操作を開始。
もしかしたら兄が先に手続きしてるかもなぁ・・・
なんて思いながらポチポチと操作すると、未発券の予約チケットが表示された。

ぬ?奴は何をしているのだ?
不信感を募らせながらチェックインを済ませ、ゆっくり見ようと思っていたお土産コーナーに早足で向かう。
毎回都内で有名な、どら焼きや焼き菓子なんてのを各地で入手してお土産にするのだが、今回は空港で済ませようと怠けたのが裏目に出て手短にありきたりの物をお買い上げする事になってしまった。

ま、まぁお土産が無いよりいいか。
なんて思いながらベルンのチョコウエハウスを握りしめていると、遅ればせながら兄からのメール。

ブーン、ブーン。
「お前、チケット手続きしたんかい?」
・・・今更である。
既にチェックインを済ませ、お土産をゲットし、ゲート付近であろう場所でモジモジしていたところだ。

さて、ここでもう一悶着発生する。
我が実家は、宮崎県にあるのだが、羽田空港の搭乗ゲートは遥か彼方の奥の奥にある。
それをここ数回の帰省で学んでいた自分は、限りなくゲートに近いチェックインにいた。
そこに兄の指令。
兄「で、今お前どこにいるの?」
とりあえず一番近いであろう入口付近にいると答えると、

兄「アホか?!入口は○番って書いてるぞ?その辺で待ってるから」
と、一方的に言って電話は切れた。
あれぇ?
一番端っこの、この入口であってたような・・・

欠片となった自信は黄砂のように風に舞い散り、半信半疑のまま兄の指定した場所に向かう。
飛行機常連者であれば、
「ぬ?そんなのチケットにゲート番号とか書いてあるじゃん?」
なんて初心者を蔑む発言をするのだろうが、何度も念を押す、
自分は裸眼では半径1mくらいしか見えていない。
つまり、案内板なんてぼやけて見えないのである。
「じゃあメガネ持って来いよぉ!」
ふん。

何はともあれ兄の元に寄っていく。その距離10m程。
「入口って一番端っこじゃなかったっけ?」
チケットを兄に見せながら言ってみる。
兄「ん?あ、向こうだね。良かった。」
と、颯爽と自分が今来た道を歩き始めた。

うん、良かったね!
・・・って、おいぃいいっ!!!
ワシが今歩いてきた道やんけぇ!!!!
自分、ちゃんとゲート確認したんちゃうんかい?!!!

兄「あ、福岡行きのとこ見てた。うひゃひゃひゃ。」

・・・本当に今回は出だしからついていない帰省なのであった。


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