学校初日の朝

ホストファザーのアランは、電車の運転士なので朝は早く、5歳のジェットは小学校、
ホストマザーのマギーも仕事をしているのでジェットと共に家を出る。

10時から授業が始まる私が一番遅く家を出るので、
朝ご飯は冷蔵庫の中の物、トースト、コーンフレークをお好きにどうぞスタイル。
私はジェット用のコーンフレーク(キッズアニメの箱に入ったカラフルなリングのフレーク)がお気に入りだった。

海外には色々な形のコーンフレークがありとても新鮮。
そういえば、96年のロンドン・パリ旅行で仲良くなったお姉さんは、自分用にコーンフレークを買っていた。
彼女は海外旅行経験が豊富で、日本に無いコーンフレークを買って帰るのが恒例らしく、
かさばるのだけが難点だと笑っていた。

さて、家から駅は真っ直ぐ歩いて10分かからない。
駅はセントラルラインの「West Acton駅」
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学校は、同じくセントラルラインで11駅先の「Oxford Circus駅」
West Acton駅にて、まずは定期を買う事にする。
留学ガイドの本を片手に窓口へ行き、つたない英語を話す。
窓口のおっちゃんは英語が話せない私を察して優しく説明してくれる。
ゆっくり親切に話してくれているのはわかるがほぼ理解出来ない。
目的区間と3ヶ月の定期かを何度も確認したが、最終的には持っていた本で会話文を指差して確認した。
もともと予算の少ない留学なのでここで変な失敗出費はしていられないのだ。

無事定期を購入し、チューブの初乗車。
と言ってもこの駅は地上にある駅なのでチューブ(地下鉄)感は無い。
市内より少し離れている住宅地で乗客もあまり多くない。
しかしホームにはチョコレートバー自販機がある。
電車を待つ間、「今度、あの自販機に挑戦せねば!」と心に誓う。

いざ、チューブ到着!
ここで、私は生まれて初めてボタンを押さなければ開かない電車のドアを体験する。
日本でも寒い地域の電車にはボタン式のドアがある事は後に知るのだが、この時は初体験である。
ちなみにロンドンの電車はほぼ押ボタン式ドアだったと記憶している。現在もそうなのかは定かでは無い。

乗車後の第一印象は、

「車内が汚い」

読み終わった新聞が座席に置いてあったり、スナック菓子のくずが椅子の奥に入り込んでいたりする。
最近では都内の電車でもお菓子を食べたりする人がいるが、当時はそういう光景は見かけなかったので、
これには驚いた。
後にセントラルラインは比較的綺麗な方だと、色んな路線に乗車して思った。

学校までは1本。
電車のアナウンスを一生懸命聞き取りながら「Oxford Circus駅」を目指した。